マイナスイオンに代わる空気清浄機のトレンド

家電各社が空気清浄機やエアコンに使ったキーワード「マイナスイオン」ですが、全社が様々な製品に使ったために、マイナスイオンという言葉自体が陳腐化してしまい、次のキーワードが必要になってきます。当然、各社ともこれに続くキーワードとして新しい単語を考え出します。

脇を固めた新キーワード

マイナスイオンという単語は定義や科学的な視点がはっきりしていなかったため、様々な論議を呼び起こしたり、各社各様のマイナスイオンについての定義を自社サイトに掲載するなどの対応を求められ、「スキ」ができてしまい積極的な宣伝活動の足を引っ張ることにもなりました。
このため、家電各社は新商品の登場に合わせて既存の科学用語を用いることなく製品の機能や効果をイメージできるような商品のキーワードとなる単語を考え、さらには商標として登録する事で積極的な宣伝活動を始めました。

空気清浄機の競争は濾過機能へ

それまでの空気清浄機はマイナスイオンという単語を使い、健康にいい事をアピールするのがトレンドでしたが、競争の争点は健康にいいと言う漠然とした表現からどれだけ小さな埃を濾過してきれいな空気を吹き出すかと言う方向に移っていきました。
空気清浄機の機能はフィルターを通る際にどれだけ埃やウイルスをフィルターがキャッチするかということになり、フィルターの網の目がどれだけ小さいかがポイントになります。
しかし、フィルターのサイズがどれだけ細かいかとか、どれだけ小さなサイズの埃をキャッチできるかは、非常に小さな単位のために一般の人にはわかりにくいと言う問題があります。
また、空気清浄機に入って来る空気の汚れの差によってフィルターの効果は変わるため、実際にはどのくらいのサイズの埃やウイルスが1時間に何個取れるかという具体的な表現は難しいという問題もあります。

超小さなイメージの「ナノ」

埃やウイルスの小ささが何分の1 mmと言う単位では表現できないほど小さいため実際には、マイクロメートル、ナノメートル、ピコメートルという単位で計ることになります。
ところが埃の大きさもウイルスの大きさも一定では無く、その形も完全な球形てあれば計ることができますが、長く細い物や棒状の物もあるため、〇〇〇マイクロメートルを完全にストップと言う表現ができません。
ちなみに、mmは1,000分の1メートルでありマイクロメートルは100万分の1メートルナノメートルに至ってはマイクロメートルの1,000分の1である10億分の1 mmとなります。
ナノメートルの埃やウイルスをキャッチしようとすれば一般的なフィルターを構成する繊維の大きさよりも小さくなってしまい、単一繊維による層のフィルターだけでは濾過することができなくなります。
各メーカーは普通の繊維や何層かを組み合わせることで小さな埃にも対応する製品を発売しています。
とは言え、実際に〇〇〇ナノメートルの物を完全に透過を防ぐと言う表現をしてしまうと無理な部分もあるので、自社の製品は非常に繊細な埃も逃さないと言うネーミングによるイメージ戦略を立てます。

ナノイーは単位ではなく「登録商標」

実際にフィルターがキャッチするスギの花粉は直径が20μm(マイクロメートル)でかなり大きいのですが、タバコのニオイの粒子のサイズをマイクロメートルで表すと、直径は0.01~0.001μm、つまりさらに1000分の1小さいサイズの単位となる10㎚~1㎚ナノメートルになります。
このため、タバコのニオイの粒子を完全にシャットアウトするには1ナノメートルよりもさらに小さい濾過能力が必要になります。
ちなみに、パナソニックの製品には「ナノイー」と言う名前のついている空気清浄機などの商品がありますが、この「ナノイー」はナノメートルのような単位ではなく「登録商標」です。
登録商標は商標権を持っている会社しか使うことができないため、マイナスイオンのように他の会社が自社製品の名前につけたり広告に使う事は出来ません。
「ナノイー」イコール「小さなものをストップする」と言うイメージ戦略で広告を行うことで自社商品のイメージアップだけに使うことができるのです。
少し意地悪な言い方をすれば、「ナノイー」は商標として登録された「名前」であって単位の「ナノメートル」とは関係ないので、厳密に1ナノメートルの物質をストップできなくても全く問題はないのです。